俺は今、かつての友に銃口を向けている。
酒を酌み交わしながらお互いの夢を語り合ったかつての友に……。
あの時飲んだ酒は、美味い酒だったな。
もうお前と酒を飲めないと思うと寂しくなるよ。
わりい、お前はもう酒が飲めないんだったな……。
お前は夢を叶えた。
子供の頃から抱いていた夢が叶えられて良かったな。
だが、お前は夢を叶える方法を間違えた。
お前は、自分の夢を叶えるために、悪魔に魂を売っちまった。
今のお前が歌う歌は、今の俺の耳にはとても耳障りに聴こえる。
昔のお前なら、もっと美しい声で歌ってくれただろ?
今のお前が綴る詩は、今の俺の心には届かない。
昔のお前なら、もっと優しい詩が書けただろ?
今のお前が創り出すあらゆるモノが、この世界を汚していく。
そして、お前自身が汚れ、傷つき、壊れてゆく……。
お前は、いつの間にかモンスターになっちまった。
お前は、悪魔に魂を売り渡し、夢を叶えた夢を見ているだけなんだ。
お前が汚れ、傷つき、壊れてゆく姿を、俺はもう見たくないんだ。
俺がお前の夢の続きを見させてやるよ。
昔は楽しかったな……。
俺の目から涙がこぼれた。
俺は涙を拭い、かつての友に向けた拳銃の引き金を引いた。
一発の銃声が悲しく響いた。
「ア、アリガトウ……」
かつての友は、俺に感謝の言葉を述べてこの世界から去っていった。